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山形地方裁判所 昭和46年(わ)242号 判決

所在地

山形県鶴岡市三光町五番二九号

株式会社 ソニツクス

右代表者代表取締役

岡原武雄

本籍

愛媛県宇和島市袋町一〇九番地

住居

東京都大田区田園調布三丁目五番九号

株式会社ソニツクス代表取締役

岡原武雄

昭和六年八月二〇日生

右の者等に対する法人税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官佐藤安宏出席の上、審理を遂げ、次のとおり判決する。

主文

被告人株式会社ソニツクスを罰金三五〇万円に、

被告人岡原武雄を懲役六月に処する。

但し、被告人岡原武雄に対しては、この裁判確定した日から、二年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人会社は、山形県鶴岡市三光町五番二九号に本店を設け、電機製品の製造および輸出入販売等を営業目的とする資本金八〇〇万円の株式会社であり、被告人岡原武雄は、右被告人会社の代表取締役としてその業務全般を掌理統括するものであるが、右被告人は、被告人会社の業務に関し、法人税を免れる目的をもつて、売上の一部を除外し、または仕入を水増し計上して簿外預金を設定するなどの不正な方法により被告会社の所得を秘匿したうえ

第一、昭和四三年四月一日から同四四年三月三一日までの事業年度において、被告人会社の実際所得金額が二、〇五〇万六五五円あつたのにかかわらず、同四四年五月三〇日所轄鶴岡税務署長に対し、所得金額が三〇二万一、七六二円である旨虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて被告人会社の右事業年度の正規の法人税額六九三万七〇〇円と右申告税額八二万三、二〇〇円との差額六一〇万七、五〇〇円を逋脱し

第二、昭和四四年四月一日から同四五年三月三一日までの事業年度において、被告人会社の実際所得金額が五、九六七万一、六二六円あつたのにかかわらず同四五年六月一日所轄鶴岡税務署長に対し所得金額が一、五七三万一、五四三円である旨虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて被告人会社の右事業年度の正規の法人税額二、〇五八万六、三〇〇円と右申告税額五二一万一、五〇〇円との差額一、五三七万四、八〇〇円を逋脱したものである。

(証拠の標目)

判示全部の事実につき

一、被告人岡原武雄作成の上申書、同人の収税官史に対する質問てん末書七通及び検察官に対する供述調書

一、収税官史作成の告発書

一、佐藤与市の収税官史に対する質問てん末書一五通、同人の検察官に対する供述調書及び同人作成の上申書七通

一、中田武の収税官史に対する質問てん末書七通、同人の検察官に対する供述調書及び同人作成の上申書二通

一、上出瞳、三丁目明徳、菊地晃及び滝沢和夫の収税官史に対する各質問てん末書

一、坪野康末、小林進及び安沢達雄の収税官史に対する各質問てん末書及び右同人等作成の各上申書

一、鳥海清、中川清、石井康夫、御子柴日利、鈴木圭三、村尾時典、山田友弘、斎藤銀蔵、石塚徳子、東泰雄、大貫鎮夫、下山修司、田中興造、平野勝子、赤井電機株式会社小林、長尾洋及び笠井やえ子作成の各上申書

一、まつい工芸株式会社(二通)、松村行雄、浦部トミ子、遠山基、関根和子及び小林嘉彦作成の各回答書

一、収税官史作成の銀行調査書類

判示第一の事実につき

一、収税官史作成の脱税額計算書(取調請求順序2)、未納事業税額計算書(前同4)及び法人税修正申告書謄本(前同6)

一、押収してある法人税確定申告書一冊(昭和四七年押第八号の一)

判示第二の事実につさ

一、収税官史作成の脱税額計算書(前同3)、未納事業税額計算書(前同5)及び法人税修正申告書謄本(前同7)

一、押収してある法人税確定申告書一冊(昭和四七年押第八号の二)

(法令の適用)

被告人株式会社ソニツクスの判示各所為につき

法人税法一六四条一項(一五九条一項)

併合罪につき

刑法四五条前段、四八条二項

被告人岡原武雄の判示各所為につき

法人税法一五九条一項(七四条一項二号)(懲役刑選択)

併合罪につき

刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情重いと認める判示第二の罪の刑に併合罪の加重)

執行猶予につき

同法二五条一項一号

(裁判官 阿部哲太郎)

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